【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~

 少しして、傍らにしゃがむレクシオールが暖かい手を背中に置き……それに押されるように決心してリュミエールは口を開ける。

「あの、お話を聞いて下さい。……私、聖女だからか……たった今レクシオール様のお父上と、お母上の声が聞こえたんです。二人が最後に……あなたに伝えて欲しいことがあるんだって」

 だが、レクシオールは首を横に振り、信じようとしない。

「……そんなことがあるはずがないだろ。ふざけているのか?」
「ふざけてなんかいません!」

 つい大きな声で(わめ)くようにしたリュミエールに、レクシオールの顔も険しくなる。

「いい加減にしろ……普通に考えてもおかしいだろう。二人はもうこの世にはいない……それを悪戯に(けが)すような真似をするなら、いくらお前でも許さない。話はそれだけなら、俺は戻るぞ……。やはり俺は……二人に向ける言葉が見つけられない」
「ま、待って……!」
「ウゥ……!」

 立ち上がろうとした彼を、飛び上がった小公爵が顔に貼りついて止めた。そして彼はリュミエールに鋭く言葉を飛ばす。