【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~

 にじむ視界に手を伸ばして、リュミエールは小公爵を抱きしめる。

 胸が苦しい……こんな風に想ってもらえる彼が羨ましく、そしていたましい。
 本当はリュミエールも、こんな風に家族に大切にしてもらいたかった。

「なんだ、お前。どうして涙など……」
「違うんです……」

 レクシオールが下を向き覗き込んで来たので、リュミエールは頬を拭いながら顔を上げる。
 
 ――こんなに不幸で、こんなに幸せな人っているかしら……。

 涙で滲んで良く見えないが、きっと彼は変えない表情の中で、こちらを心配してくれているのだろう……優しい人だから。

「仕方のない奴だな……む」

 ハンカチを使ってしまったのを思い返したレクシオールは、リュミエールの涙を服の袖口で拭ってくれた。それでも、後から後から流れて来て止まらない。

(――きちんと伝えなきゃ)

 リュミエールは深呼吸して、嗚咽が収まるのを待つ……。