その後はよく覚えていない……。

 母に取りすがって呻く父の姿、埋葬する時にちらほら降る雪などは覚えているが、ぼんやりと世界から切り離されたような気分でいて、涙すら流れなかった。

 予想外だったのは、その後を追うように父が馬車の事故で亡くなってしまったことだ。

 相次ぐ葬儀に数日塞いだ俺も、結局出来事から目を逸らすように、父の仕事を引き継いだ。

 こんなことまで予期していたかのように、父は自身が亡くなった後の事も家臣に伝え、未熟な俺でもなんとかなるように準備してくれていたのだと後になって知りながら、必死に目まぐるしい日々を乗り越えた。

 一年、二年とあっという間に年月は経ち、そんな日々の記憶で蓋をして押し固めていると、俺はいつしか両親の事をあまり思い出さなくなっていった――……。


 ――――……。