ひどい咳をする母の元に走り込んだウェスティン医師と看護人が背中をさすり薬を飲ませようとする中、俺はやっとで言葉を絞り出す。
『母様……母様にとって俺は、なんなのですか! 顔も知らない多くの民の為に、母を捨てて尽くせと……? 人形でも道具でもあるまいし、そんなことできるはずが無い!』
たった一人の実の母親の苦しみに、寄り添うことされ許されないなど……どうしてそこまでして俺を遠ざけようとするんだ。
しかしその言葉に対しても、帰って来たのは冷たい拒絶の言葉だけだった。
『レクシオール……もう二度とここへ来ては、なりません!』
『……レクシオール様、これ以上はお母君の体に触ります……』
腕を抱えた医師が退室を促し、俺は感情を制御できずに言い放つ。
『母様……ちくしょう! 俺はもう……あんたなんか、知らない!』
そのまま医師を突き飛ばすと、俺は扉を肩で押し開けて出て行き、城内を走り抜ける。ぶつかりそうになる人達に強引に道を開けさせ、俺はまた城壁の壁の上にやって来ていた。
そしてそこで力の限りわめき散らす。
無念さと自責の念、何も出来ない自分への嫌悪……色々な黒い感情が渦を巻く。
今度は見張り達も見ないふりをしてくれたが、いくら叫んでもそれは一向に晴れることは無かった。
『母様……母様にとって俺は、なんなのですか! 顔も知らない多くの民の為に、母を捨てて尽くせと……? 人形でも道具でもあるまいし、そんなことできるはずが無い!』
たった一人の実の母親の苦しみに、寄り添うことされ許されないなど……どうしてそこまでして俺を遠ざけようとするんだ。
しかしその言葉に対しても、帰って来たのは冷たい拒絶の言葉だけだった。
『レクシオール……もう二度とここへ来ては、なりません!』
『……レクシオール様、これ以上はお母君の体に触ります……』
腕を抱えた医師が退室を促し、俺は感情を制御できずに言い放つ。
『母様……ちくしょう! 俺はもう……あんたなんか、知らない!』
そのまま医師を突き飛ばすと、俺は扉を肩で押し開けて出て行き、城内を走り抜ける。ぶつかりそうになる人達に強引に道を開けさせ、俺はまた城壁の壁の上にやって来ていた。
そしてそこで力の限りわめき散らす。
無念さと自責の念、何も出来ない自分への嫌悪……色々な黒い感情が渦を巻く。
今度は見張り達も見ないふりをしてくれたが、いくら叫んでもそれは一向に晴れることは無かった。



