俺は放り捨てるように手を離すと、寝台に駆け寄り彼女の手を握ろうとした。
だがその手は触れた瞬間に強く弾かれた。
『いけません! 来てはいけないとそう言ったはずです! ごほっ、ごほ……!』
『母様!!』
『離れなさい!』
母は急に目を大きく見開くと、はっきりした声で俺を拒絶する。
たったそれだけの事で息が切れ、目は虚ろでこちらを捉えてすらいないというのに……。
『どうしてこの子がこんな所に来ているのです、ウェスティン医師! この子を早くここから連れ出して下さい! 去りなさい、レクシオール! げほっ……』
『ど、どうしてそんな酷いことを……聞いて下さい、俺は宮廷学校を首席で卒業し、ハーケンブルグ公爵家の息子がここにありということを証明して帰ってきたのですよ! それなのにまだ、母様は俺のことを認めて下さらないのですか!』
『それが……どれほどのことだというのです! 学校を卒業したのならば、すぐにお父様についてこの領地を保つ為の仕事を学ばなければ! こんな半死人の元で無駄にする時間はありません! この先、領内の民全てをその肩で支えていかなければならないのですよ……!? わかって……げほっ、げほっ!』
『いかん……落ち着いて下さい! 薬を……』
だがその手は触れた瞬間に強く弾かれた。
『いけません! 来てはいけないとそう言ったはずです! ごほっ、ごほ……!』
『母様!!』
『離れなさい!』
母は急に目を大きく見開くと、はっきりした声で俺を拒絶する。
たったそれだけの事で息が切れ、目は虚ろでこちらを捉えてすらいないというのに……。
『どうしてこの子がこんな所に来ているのです、ウェスティン医師! この子を早くここから連れ出して下さい! 去りなさい、レクシオール! げほっ……』
『ど、どうしてそんな酷いことを……聞いて下さい、俺は宮廷学校を首席で卒業し、ハーケンブルグ公爵家の息子がここにありということを証明して帰ってきたのですよ! それなのにまだ、母様は俺のことを認めて下さらないのですか!』
『それが……どれほどのことだというのです! 学校を卒業したのならば、すぐにお父様についてこの領地を保つ為の仕事を学ばなければ! こんな半死人の元で無駄にする時間はありません! この先、領内の民全てをその肩で支えていかなければならないのですよ……!? わかって……げほっ、げほっ!』
『いかん……落ち着いて下さい! 薬を……』



