婚約を破棄するとの王太子の発言を聞き、リュミエールの頭はくらくらして……一度立ったはずの足から力が抜け、再び地面に座り込んでしまう。

 手からプレゼントの包みがかさりと落ちて転がり、かすれ声が彼女の喉の奥から漏れた。

「ど、どうして突然、そんな、ことを……? そ、それに、いつからサンドラ姉様と……」
「……そんなことは大して問題無いのだ。君は私と婚約が決まってから、ほとんど会いに来ることもしなかっただろう」
「そ、それは……」

 リュミエールはこれまで、王太子殿下の人となりを知りたいと思い、何十通と手紙を送っている。だが、お会いして一度お話してみたいと文面にいくらしたためても、政務や勉学で忙しく時間が取れないという理由で……一度もそれを王太子が応じてくれることはなかったのだ。

 それなのに……。