頬をぼんやりと染めたまま、脱力するリュミエール……。
 心臓が大きく脈打つのが自分でもわかる……。

(私、彼の事が……)
 
 だが、レクシオールはいつものように怒らずに、彼女を助け起こすとふっと目線を足元へ向ける。

「しっかり立っていろ……」

 そして言葉少なにそれだけ言うと、そのままぼんやりと立ち尽くした。

「はい……」

 リュミエールは泣きそうになる……。
 彼はこの先こんな風にずっと心を閉ざしたままなのだろうか。

 自身の幸せを省みず……ただ生まれてきた家柄の役目の為に尽くすような、そんな悲しい生き方をしないといけないのだろうか……。

(どうしたらいいの。私は彼の事を……何が彼を苦しめているのかを知りたいのに……!)