「なんだあいつ……はぁ、付き合っていられん。じゃあな」
「お、お待ちください……!」

 リュミエールが彼の手を取って引き止めると、レクシオールは驚いた顔をした後ぐっと顔をそらす。

「俺には……大事な仕事がある。お前達の遊びには構っていられん。離せ」

 強い調子で言う彼だが、やはりどこか不自然に感じられて……リュミエールは掴んだ手をそのままにして言った。

「……レクシオール様、あの……私のことがお嫌いですか?」
「……別に」
(やっぱり、何かあったんだわ……)

 レクシオールがわずかに辛そうな顔をした気がして、リュミエールは彼が今、何を考えているのかが知らなければならないと感じた。

「それなら……いいんです。わかりました……金輪際あなたのお邪魔は二度としないように心がけます。ですが、今回だけ……少しお話をしませんか? 散歩がてらに」

 そして可能なことなら、彼を苦しめている何かを取り除いてあげたい……それがもし、自分の事が原因であったとしても。