(一体どうしたのかしら……何か、嫌われるようなことしてしまったのかな)

 公爵とはあの日以来、あまり話せていない。
 体調は回復したようで、政務に復帰してはいるが……リュミエールと会えどするのは挨拶位のもので、目も合わさない。まるで出会った頃に戻ってしまったような……。

 せっかく彼の顔を見ても、緊張せずに話せるようになって来たのに……。

(寂しいな……)

 リュミエールは外に伸びる枯れたスグリの枝を指でつついた。

 寒々しい景色を見つめながら一人でいると尚更、言いようのない寂しさが募り……リュミエールは白いため息を吐いて窓を閉める。 

 シスターにお話でも聞いてもらおうかと、う~んと背伸びしたリュミエールの耳に届いたのは……か細い猫の鳴き声だった。

「――ニャー……」
(あら……?)