「む、さすがにいくら公爵様といえど、勝手にお体に触るのはおよし下さい。まだ式も挙げていないのですよ?」
「お前がやらないからちょっと試しただけだ。仕方ない……こいつに免じてもう少し休んでおいてやるか……」
「それがようございますわ、ほほほ」

 楽しそうに笑うケイティには腹が立つが、あんな夢を見た後でも嫌な気分ではないのが不思議だ。この子供みたいに温かい手のひらから伝わる熱が、レクシオールの奥にある柔らかい部分に届き、ひどく心を安らがせる……。

(ふん……だらしない顔をしおって。起きるまでだからな……)

 リュミエールの小さな頭を見下ろすと、レクシオールは再び体をベッドに落ち着け目を閉じる……その手はしっかりと繋いだまま。