リュミエールはこんなになるまで自分を手伝ってくれたレクシオールの助けにせめて少しでもなってあげたいと思う。

 ケイティは迷い、老医師の顔を伺うが、彼は断らなかった。

「なんともいえませんが、うつる病などではありませんし良いのではないでしょうか。お目覚めになった時に信頼できる方がお傍にいた方が安心されることでしょうし」
「わ、わかりました……では」
(どうやら、お邪魔になりそうだね)
(ええ……)

 少しでも彼の苦痛が和らぐよう、一心に手をにぎり祈るリュミエールを見て、パメラとフレデリクは息を合わせて立ち上がる。
  
「では、済まないが僕は他の仕事があるから、一度戻らせてもらうね……リュミエール嬢、レックスをどうかよろしくお願いするよ」
「お着替えを用意して、少し後で様子を見に参りますので……」
「はい……」

 リュミエールは落ち込んだ顔のまま頷き、静かに扉から外に出てゆく二人を見送った。