「――過労ですな……しばらくすれば意識は戻るでしょうが、数日安静になさるべきです。栄養と睡眠をしっかりとっていただかなければなりませんね」

 医務室で診断を下した老医師の言葉に、全員がほっと息を吐く。
 未だレクシオールは目覚めておらず、顔は青い。

「このところ、忙しくさせていたからな……。あ、いや、君のせいでは無いんだ……気を落とさないで」

 そう呟いたフレデリクが慌てて取りなしたが、わずかな時間を見繕ってダンスの練習に参加してくれていたのが、彼の負担になっていたのは明確だった。

「どうして……」

 リュミエールは、じわりと涙ぐみながら、レクシオールの顔を見つめる。
 一番身近で見ていた自分が彼の変化に気づけなかったことを、リュミエールは悔いていた。

「本当に君のせいじゃないんだ。こいつは昔っから意地っ張りでさ。余程の事でなければ自分で全てやらないと気が済まない性質なんだ……一生懸命すぎるんだよ、この馬鹿は」