(どうか神様、彼らを無事、家族の元に返してあげて下さい……)
「……そう心配する事も無いさ。今リーベルト王国に攻めてくる国はいないよ」
「フレディ……?」
まるで心を読んだかのような言葉に、リュミエールはドキッとする……。
隣へ立つと彼は、銀の眼鏡の奥から覗く緑色の瞳を鋭くして、山向こうを見通した。
「冬場の山中を行軍するなんて馬鹿な真似をした奴らに、数年前、精強なハーケンブルグ領の軍隊がさんざ痛い目にあわせてやったからね。同じ轍を踏もうとは思わないだろう。近隣にも同盟国が睨みを利かせている。余程大きく状況が変わらない限り……例えば、内輪もめで王様がすげ代わる位のことが無かったら……」
「フレディ様、それはいささか不穏当なのでは……」
「……ごめんごめん、冗談さ。ま、それ位の大事が起こらなければ、戦争なんて起こらない。だからそんな風に君が思い悩む必要はないさ」
軽くたしなめるケイティの言葉でフレデリクはいつもの柔和な表情に戻ると、その場から歩き出し、二人は顔を見合わせながら、それについてゆく。
雪を踏みしめるサクサクという足音と後、微かに響くのは木々の隙間を通り抜ける木枯らしの音色位で……他は無音の静謐な世界。
「……リュミエール、冬は好きかい?」
「私ですか? 私は少し苦手です……寒いですし」
「……そう心配する事も無いさ。今リーベルト王国に攻めてくる国はいないよ」
「フレディ……?」
まるで心を読んだかのような言葉に、リュミエールはドキッとする……。
隣へ立つと彼は、銀の眼鏡の奥から覗く緑色の瞳を鋭くして、山向こうを見通した。
「冬場の山中を行軍するなんて馬鹿な真似をした奴らに、数年前、精強なハーケンブルグ領の軍隊がさんざ痛い目にあわせてやったからね。同じ轍を踏もうとは思わないだろう。近隣にも同盟国が睨みを利かせている。余程大きく状況が変わらない限り……例えば、内輪もめで王様がすげ代わる位のことが無かったら……」
「フレディ様、それはいささか不穏当なのでは……」
「……ごめんごめん、冗談さ。ま、それ位の大事が起こらなければ、戦争なんて起こらない。だからそんな風に君が思い悩む必要はないさ」
軽くたしなめるケイティの言葉でフレデリクはいつもの柔和な表情に戻ると、その場から歩き出し、二人は顔を見合わせながら、それについてゆく。
雪を踏みしめるサクサクという足音と後、微かに響くのは木々の隙間を通り抜ける木枯らしの音色位で……他は無音の静謐な世界。
「……リュミエール、冬は好きかい?」
「私ですか? 私は少し苦手です……寒いですし」



