リュミエールはそれがおかしくて、けほけほと咳き込みながら頷く。

「ぷぷ……小公爵は、ご自由にされているようですが……いたずらをされたりしないのですか?」

 ケイティもおかしそうな顔でパメラに尋ねるが、パメラはにっこりと笑って答えた。

「小公爵を侮ってはいけませんのよ。彼はとても賢くて、何かを壊したことなど一度もございませんし……入室したい時も本気で爪は立てず、ちゃんと招き入れられるのを待つ度量もあるのです。ちゃんとここに入ってはいけませんと一度注意した所には入りませんし」

 パメラは小公爵を膝の上に乗せ、自慢げに言う。

(これが、猫という生き物なのね……本物をこんなに近くで見るのは初めてだわ)

 彼は気持ちよさそうに目を細めていて、リュミエールは思わずそばに寄ってみたくなった。フィースバークの家では、犬や猫はおろか、飼っていたのは馬位のものだった。リュミエールが関わるのは馬車に乗ってどこかに行く時位だったので、あまり見ることのない小動物にとても好奇心が刺激される……。