◆(レクシオール視点)
『――申し訳ありません……』
「チッ……」
何度あったか覚えていない程謝られた為、頭の中にあいつの済まなそうな表情が貼り付いていて……俺は小さく舌打ちした。
練習後着換えを済ませて再び執務室の椅子に腰を下ろした俺は、しばしリュミエールの事で思い悩む。
本人も頑張っている……その努力は認めるのだが、俺と踊る時だけやはり極度の緊張がみられて、うまくいかないようだ。支えた手も冷たかった……。
そして他にも問題があった。あいつは一向に俺と目を合わせようとしない。そのせいでどうにも息が揃わないでいる……。あれ程の演奏ができるのだから、リズムの感覚は優れているだろうに……これでは宝の持ち腐れだ。
フレディの言うように転ぶことは減ったかも知れないが、気を抜くと足を踏みつけられるので俺は靴を軍靴に変えた。踊りにくいが大抵の足技は防御できる……万一ダンスの練習などで怪我をして政務を滞らせたりすれば、いい笑いものだろうからな。
(……ふん、全く変な娘だ。貴族らしくなく……気弱で心根が優しすぎる)
『――申し訳ありません……』
「チッ……」
何度あったか覚えていない程謝られた為、頭の中にあいつの済まなそうな表情が貼り付いていて……俺は小さく舌打ちした。
練習後着換えを済ませて再び執務室の椅子に腰を下ろした俺は、しばしリュミエールの事で思い悩む。
本人も頑張っている……その努力は認めるのだが、俺と踊る時だけやはり極度の緊張がみられて、うまくいかないようだ。支えた手も冷たかった……。
そして他にも問題があった。あいつは一向に俺と目を合わせようとしない。そのせいでどうにも息が揃わないでいる……。あれ程の演奏ができるのだから、リズムの感覚は優れているだろうに……これでは宝の持ち腐れだ。
フレディの言うように転ぶことは減ったかも知れないが、気を抜くと足を踏みつけられるので俺は靴を軍靴に変えた。踊りにくいが大抵の足技は防御できる……万一ダンスの練習などで怪我をして政務を滞らせたりすれば、いい笑いものだろうからな。
(……ふん、全く変な娘だ。貴族らしくなく……気弱で心根が優しすぎる)



