彼のその言葉にがっくりと、全員が肩を落とす。

「でも、公爵閣下がおいでにならないときは、もう少しましなのですけどね……?」
「私が以前お相手して差し上げた時も、そこまででは無かった気はするのですがねぇ……」

 パメラが意味ありげに首をかしげ、ケイティもうなずく。
 皆して首を捻る中、フレデリクの目が怪しく光り……リュミエールに手を差し出した。

「それじゃ一度、僕と踊ってみませんか? リュミエール嬢」
「え、え~と……よろしいのでしょうか?」

 リュミエールは、その眼鏡の奥から覗く柔らかい眼差しにドキリとしながら、困った顔でレクシオールを見上げる。

 すると彼は素っ気なく返す。

「やってみろ……それで踊れるようなら、俺の方に問題があるということになるからな」
(そんな言い方をしたら、余計に踊りにくいではありませんか!)

 パメラが公爵の無遠慮な言葉に内心で頭を抱えたが、リュミエールは素直に従いフレデリクに手を差し出す。