(……ニャゥー)
(いち、に…………? あ、あれっ!?)

 ぎゅぅうう……!

 部屋の外からした聞き慣れない動物の鳴き声に気が()れ、またしても革靴を柔らかくへこませたリュミエールに、公爵の眉間に鋭い亀裂が走る。

「……い・い・か・げ・ん・覚えろ! どうして踊りだけが極端に下手なんだ、お前は!」
「申し訳ありません……レクシオール様」

 本日何度目かの失敗で、目を半眼にして睨まれたリュミエールが縮こまる。

 それを庇おうと、フレデリクがパメラの手を離し近づいた。

「まぁまぁ、レックス、彼女もちょっとずつ上達しているじゃないか」
「どこがだ……」
「それは……あ~、さ、三回に二回しかこけなくなった!」
「目を泳がせる位なら言うな! その代わり、足を踏まれる回数は増えているんだぞ……」