「……私、臆病なの。自分のことを認めてくれる人が出来たことが、なんだか落ち着かなくて。……嬉しいのだけど、もし私が公爵さまに気に入って頂けなかったら、また一人になってしまうのではないかとか、色々考えてしまうわ」
「姫様! このケイティをお忘れになっては困ります! ずっとおそばにお仕えしていますのに! ケイティは絶対御嬢様のそばから離れません!」

 肩越しに覗きこんで来た、良く出来た世話係が必死にそう言ってくれるのを聞いて……リュミエールは苦笑しながらあわてて言い直す。

「そ、そうね、ケイティがいてくれるものね。でも……自分の居場所が出来てしまうと、また失うのは、嫌だわ……」
「御嬢様……」
 
 公爵家との婚約の折、実家を追い出されるような仕打ちを受けたことは、リュミエールの心に深い傷を与えていた。

 そんな彼女を見ても、ロディアは微笑みを絶やすことなく懐へと手招きする。

「リュミエール様……ええと、どうぞこちらへおいで下さいな」
「シスター?」

 それに応じ、首をかしげながら寄って行く……すると彼女は手を大きく拡げてのリュミエールの小さな体を抱きしめてくれた。

 ――ふかふかしてる。