ムショうの


 アオイが。

 これを、貸してくれてから、一週間。

 きっと、アオイはすぐに聴きたかったんじゃないかな。音楽、すごく好きだから。
 ヒマがあれば、いつもイヤフォンを耳にさしているから。ギターが欲しいって、バイトも始めたみたいだから。

 でも、貸してくれた。貸してくれたんだ。一週間。借りっぱなしのわたしに、文句も言わずに。

 わたしにCDを差し出した、ちょっととまどった顔のアオイを思い出したら、胸の奥がじぃんとした。

 何倍も、CDの音が大切なものに思えた。乱暴なギターが、心を撫でているように感じた。

 今さら、優しさに気づいた。

 アオイは、ちゃんとわたしに、優しさをくれていた。

 模様替えの間じゅう、わたしの部屋はずっと、音楽で満たされていた。

 本を並べ替えながら、パタパタと部屋をはたきながら。

 ホコリが目に入って、わたしはすこしだけ泣いた。