今もうのちゃんの話を聞いているフリをしながら、自分のことを考えている。
うのちゃんにも「ほしい」があったんだ、とか、ホッとしている。喜んでいる。醜い自分の気持ちや罪悪感が、うすれるような気がしている。
うのちゃんの助けになりたい、じゃない。自分ばかり助けてほしい。
月曜日学校に行くのが「いやだ」と思ってる。自分は「かわいそう」って思ってる。
自分の「つらい」だけ、考えている。ひどい。とてもつめたい。
「・・・うのちゃん」
どうしてかわからないまま、にじんでいた涙がこぼれた。
うのちゃんの顔が、やわいクッキーのように、わたしの涙のカーテンで、ホロホロとくずれていく。
「・・・こまり、」
「ちがうの」
「え?」
「ちがうの・・・っ、うのちゃん、わたし、」
しゃくりあげる。ズッと、鼻の奥で音がした。
「わたし…っ、わたしのために泣いてるの。わたし、うのちゃんの話聞きながら、自分の悩みのことばっかり考えてるの…っ、うのちゃんのためじゃないの、ためになれないの、わたし・・・っ」
「――いいよ」
うのちゃんの手が、わたしの手にふれた。
そして、ゆっくり握られる。包むように、やさしく、握られる。
「そんなのいいよ。お姉ちゃん、そんなふうに、素直なこまりが、好きよ」
お姉ちゃん、と、うのちゃんは久しぶりに自分のことをそう言った。



