ムショうの


「…わたしだけが、相手に合わせてばっかりになって。今おもしろくないのに、どうして笑ってるんだろうって、思ったりして、そういうときも、家に置いてけぼりをくらったりして。それくらい、ね。当然だし、他の結婚してる人たちだってそういうことあるんだろうし、自分だけを見てなんて、思ってないんだけどね。そういうのじゃなくて…わたしね、今考えたら、ううん、今後悔したって、どうにもならないんだけどさ。もっとさみしいのガマンして、信じてあげればよかったなぁって。さみしいとか不安とか、わたしが作り出しちゃったものなのかなぁって。でも、じゃあわたしのさみしい、の気持ちは、どこにいっちゃうのかなぁって、思って、気持ちをたくさん殺しちゃったら、わたし、抜け殻みたいだよなぁって、今の自分、好きじゃないなぁって、ずっと思ってしまって、」

 うのちゃんはそこまで一息に言うと、こうしめくくった。


「…どうして、自分があげた分だけ、返してほしくなるんだろうね」


 とても小さな声だった。

 うのちゃんの、いつものボリュームの、十分の一に満たない声だった。

 離婚したの。過去形の語尾で、かかってきた電話。 

 ずいぶんアッサリだなぁ、と笑われたその、久しぶりの電話の、うのちゃんの声が脳裏をよぎる。

 たしか、三分ちょっとで切った。ドラマが見たかったから。

 わたし、うのちゃんの話、全然聞いてあげなかった。

 もしかしたらうのちゃんは、聞いてほしかったのかもしれない。明るく笑いながら、助けてって、言ってたのかもしれない。


 だけど、でも、わたし。