うのちゃんは、しばらく黙っていた。くちびるまで震えそうになるのを、かみしめる。
「…どうして」
ポツリと、落とされた言葉。
「どうして、かぁ」
うのちゃんは、ぐっと膝を伸ばして、息を吐いた。
それと同時に反った足指が、わたしたちの方を向く。うのちゃんは言った。
「――さみしかったから」
さみしかったから。
ハッキリ発音されたその言葉、ひとつ。そのひとつだけで、空気の流れが変わったようだった。
うのちゃんの周りだけ、速くなる。
スイッチを押したように、うのちゃんの唇が、動き出す。
「一人でいるさみしさのほうが、マシだと思ったから」
べつに、とか、なんとなく、とか。曖昧に片付けていた。うのちゃんの、理由。
「…話を、聞いてくれなくなるとか。後から入った友達との約束を、優先するとか。すぐイライラを表に出すようになった、とか。ねえ、多分、うん。ほんとにね。言葉にしてみたらどうでもいい、ちっちゃいことなんだよね。メールも返さない、とか。わたし以外には楽しそうに笑う、とか。そんな、ちっちゃなことがいっぱい。いっぱいあって。そりゃ、付き合い始めと比べたら、月日が経つと、ね。なあなあになるでしょう。どんどん順位が下がっていくみたいに…新鮮じゃ、なくなるから。でもそれじゃあダメだって思って、だから、わたしは話を聞くようにして、わたしは優先するようにして、メールもすごく考えて打って、わたし…わたしだけ、わたしだけ、が」
首をしめられたように、苦しそうな息継ぎ。うのちゃんは続ける。



