ムショうの


 うのちゃんは。うのちゃんでも。

 イヤだと思ったことがあるの。キライになったことがあるの。
 よくないって、逃げたことがあるの。避けたことが、あるの。

 昔の情景と一緒に、感情までよみがえってくる。

 うのちゃんが家に違う男の人を連れてくるたび、わたし、変なかんじがした。

 いやだったのかもしれない。いやだったんだ。きっと。
 当たり前のように、なんでもない顔をして、他人を陣地に入れてしまううのちゃんが、未知だった。

 キスって、こわくなかった?それ以上なんて、とてもとても怖くなかった?

 いつか他人になってしまう人でしょう。結局、なってしまった人でしょう?

 信じることと、期待を持ってしまうことは、すごく似ている。

 後悔しなかったの。くっついて、あげて、注いでしまって、簡単に離れられるものなの。

 ミドリイくんも、爆音車の男も、土足で家に進入しようとする突拍子もない男も、すごく年上だった人も…上月さんも。

「・・・うのちゃん、」

 わからないの。

 アオイは。アオイを。とても不確かなカレシという存在に対して、わたしはどうしたらいいかわからない。

 だって、あげてしまって、かえってこなかったら、そのときがとてもこわい。

「・・・うのちゃん、どうして…どうして、離婚したの」

 ほとんど、声が震えていた。

 うのちゃんに聞きながら、自分に聞いていた。

 足の先が冷たい。どうしてわたし、泣きそうなんだろう。