ムショうの


「懐かしいなぁ。懐かしいとかあんまり言っちゃ、オバチャンみたいだから嫌だけど。でも懐かしい」

 わたしの制服は、うのちゃんのお下がりだ。中学も、高校も一緒だから。

 わたしが着ているのを見るたびに、うのちゃんは懐かしいなぁと思っていたのかもしれない。

 うのちゃんと、わたしの間。七年。
 七年も違えば、校舎はリフォームされたり、校風も変わったりするから、懐かしいのカケラはまだ残っているのかわからないけれど。

「うのちゃんの時と違って、今は校則だいぶきびしいよ」

 そう言うと、うのちゃんの目がとても興味深そうに開き、わたしをとらえた。

「きびしい?」
「うん。校長変わってから、茶髪もダメんなって。地毛ですって、うっすら茶色にしてる子もいるけど、たいていバレるし」
「へえ!そうなんだー!わたしん時、色とりどりだったのになぁー」

 色とりどりなんて、想像できないな。かけはなれてる。

 クラスの一番後ろから見る景色は、頭と制服と黒板とで、半分以上黒の割合なんだから。

 黒、黒、黒。茶も金も、もちろんミドリだって、いない。

 今も昔も、ミドリは斬新すぎるよな。街に出ても見かけたことがないもんな。

 うのちゃんがはじめて、スイカ頭の彼氏を家につれてきた時のこと。色付きで、急にあざやかに思い出された。

「うのちゃんさ。あー…えと、昔。彼氏に。スイカ頭のひと、いたでしょ」

 うのちゃんは一瞬不思議そうな顔をしたあと、パァッと表情を明るく変えた。

 顔の動きが大げさだから、暗いなかでもよくわかる。

「ああ!すごい、よく覚えてるねぇ!!ミドリイくん、ね」