暗い中、かろうじて見える時計の針は、午前三時すぎを示していた。
もうそんな時間になっていたのかと思ったけれど、よくよく見て考えてみれば、時計は止まっているようだった。
そうか。三年以上放置していた部屋で、電池が切れて、いつのまにか止まっていたんだ。
「電気点ける?こまり」
「ううん、いいよ」
「こまりがわたしの部屋来るなんて、めずらしいねぇー」
ふへっと、うのちゃんが笑う。
いまさら緊張なんてしないけれど、車の運転席と助手席よりもすこしはなれた、深夜の微妙な空間は、なんだかくすぐったい気がした。
「いっつもこんな遅くまで起きてるの?…あ!明日、学校休みだもんねぇー。べつにいっか、夜更かししても」
「うん、休み。学校…っあ」
「ん?」
「学校。今日、クラスで席替えあったの」
「へえ!」
うのちゃんは大げさに、肩の位置をピョコンと上げたリアクションをした。
もちろん、お父さんたちを起こさないように、声はちゃんと、控えめのトーンで。
「席替えとか、懐かしいなー」
「うちのクラスあんま、することないんだけどね。久しぶり」
「で?良い席だったのー?」
「超良い席。一番後ろ」
「ぎゃっ!最強じゃん!!」
ピョコン。さっきよりも高く、跳ねる肩。
頭も合わせて三ツ山みたいなうのちゃんに、思わず笑みがこぼれる。
うのちゃんはゆっくり肩を下げたあと、
「・・・高校生かぁ」
息を吐くように、つぶやいた。



