「好きな友達と座らせてくれたらさ、勉強だってがんばるっつーの」
サユキがはなれたくないとでもいうように、わたしの机に突っ伏す。わたしは笑って言った。
「それ逆じゃない?しゃべっちゃうじゃん」
「真面目かこまり!席近いとさぁ、わざわざ手紙回さなくてもよくなるのにー!」
サユキが不真面目すぎるんだよ、わたしがそう言うと、いっそうふくれる頬。
たしかにサユキはよく、手紙を書く。
メモ帳は四種類で、手紙の折り方は五種類以上。先生の似顔絵を描いて、授業中に笑わせようとしてくることもしょっちゅう。
無駄に実写的。サイノウの無駄遣い。
「美術部に入ればいいじゃん」
って提案したみたことがあるけれど、逆に、こまりはバレー部に入ればいいのにと返された。
「好きだけど、そういうのじゃないんだよなぁ」
そういうのじゃないんだよなぁ。お互いに同じことを口にするわたしたちは、絶賛帰宅部満喫中だ。
席替え後独特のにぎやかさを無理やりおさえこんで、授業が始まる。
机の中身もカバンも、全部移動させた、一番後ろの席。
想像以上。そこは、とても居心地のよい場所だった。
全部が見渡せる。だれが起きているか、寝ているか、こっそり話しているかも、全部。急にえらい人にでもなったかのよう。
どの生徒がどこの席になったのか、なんとなく確認していたら、席替え言い出しっぺの男子は真ん中の一番前だった。
アオイも二列目だとわかった。口元がすこしゆるむ。



