ムショうの


 いくら自由でも、うのちゃんの話を聞いてくれる人がいないと。言葉をためこんだらうのちゃん、きっとパンクしちゃうもんな。

 自由ってなんだろう。ひとりで居るって、どういうことだろう。

 …自由に生きるって、ひとりで生きることなんだろうか。



「自由に決めさせてくれたらいいのにねぇ、席くらい」

 ざわめく、教室の空気。サユキが不服そうに、ほおをふくらませて、わたしを見上げている。

 サユキの肘が、グゥーとしずみこんでしまいそうな、わたしの机。
 正式には、わたしのものになったばかりの机、だ。

 週終わりの、金曜日。授業開始の手前。わたしたちのクラスで、席替えがあった。

 席替えなんてめったにないことだけれど、にぎやかなグループの男子が、しつこく先生にかけあっていたから。そのグループには、アオイもいるのだけれど。

 しぶしぶの先生が委員長に作らせたくじで、わたしは運よく、教室の一番後ろの席を引き当てた。

 わたし自身もびっくり。クラスメートたちから、一番うらやましがられるポジション。

 前の方になってしまったサユキは、「いいなぁ、いいなぁ」とふてくされた顔のまま、つま先でわたしの足をつつく。

 占い、当たっているかもしれない。はじめてそう思った。
 朝テレビでかかっていた占いで、わたしの星座は一位だったのだ。

 すごく良いことが起こる日だって。ものすごくアバウト。ラッキーアイテムは、お好み焼き。食べてないし。

 すごく良いことって。運の良さって、何回くらいまで有効なんだろう。