ムショうの



 休み明けの月曜日から、うのちゃんは変わらずスーツを着て、わたしと同じ時間に家を出ていった。

 仕事はまだ、決まっていないようだった。
 そういった報告はないし、火曜日も水曜日も続けて、同じスーツで朝、出かけていくから。

 うのちゃんは必ず、わたしより早く帰って、「おかえりぃ」と出迎えてくれる。

 丸出しにしたおでこを、光らせて。紅茶やコーヒーを、カップに並々そそいで。

「今度つく仕事は、ちゃんと一生でも続けられるのがいいんだよね」

 ドライブのときの、うのちゃんの言葉を思い出す。

 一生、続けられる。うのちゃんに向いている仕事って、なんだろう。

 わたしには、うのちゃんが働いているところって、あまり想像できない。
 弾丸トークをおさえて、動きたくなるのをガマンして、大人しい愛想笑いを浮かべたり、パソコンの前に座っているうのちゃんなんて。

 家で自由気ままにすごしているうのちゃんを見ていたら、探検家くらいしか向いていない気がする。そうだな、探検家。うん、きっと天職。

 興味のあるなにかを発見したら、それに向かって一目散。いつも忙しい。じっとしている暇がない。

 のどが渇いたら、水を飲む。おなかがすいたら、木からもぎとったフルーツを食べる。

 自由気ままに、飲んで、食べて、歩いて、走って、泳いで、泳いで、きっと切る風も、触れる水も、気持ち良いけれど。

 ふと、気づく。ああ、やっぱダメだな。