ムショうの



 家に帰ったら、お味噌汁の香りがたちこめていた。

 今日の献立は、和食らしい。一日中遊びまわって、疲れた体にはちょうどいい。

 そして、家の中がすこしスッキリしていた。乱雑に積まれた段ボールが、減っている。

 いつまでたっても片づかないうのちゃんの荷物を、お母さんがすこしだけ片づけたみたいだ。

 そのせいか、お母さんは怒ったような疲れたような顔をして、鍋をかき回していた。

 言わなくてもわかる。
 家の手伝いも自分の片づけもしないで、アンタたちは一日中遊びやがって。っていう、頭のなか。

 でもわたしたちも疲れていたから、「ただいまー」だけ言って、ソファに座る。崩れる。横たわる。

 テレビに流れる番組に、ああ、そうか、今日は日曜日か、なんて思って。

 そんなときだった。

「・・・うのアンタ、なんで離婚なんてしたの」

 グッタリとソファに横たわるわたしたちに降ってきたのは、不機嫌な声の、そんな質問。

 わたしはギクリとして体を起こしたけれど、当の本人のうのちゃんは、反応なし。ソファと一体化したままだ。

 そのだらけた体勢を上塗りするかのような、のろまな声。

「ええー?言ったじゃんー!べつにさ、ハッキリしたものがあるわけじゃあないよー」
「ハッキリ、がないのに別れなくてもよかったでしょう」

 なんで、今、そんな質問。

 ソファの上におしりだけのっけて、なぜかわたしが小さくなって、思う。

 うのちゃんがどうして離婚したか。お母さんにも説明されていなかったんだということを、はじめて知った。