ハンドルがどうとか、車高だとか、燃費だとか。うのちゃんは車についてもある程度くわしいけれど、わたしにとっては何のことだかさっぱりだ。
ただ、いまだに不思議に感じるのは。
昔は後部座席に二人並んでいたのに、今はこうして、運転席と助手席にいるということ。
十八歳。免許取りたてのうのちゃんが、すごく大人になって、すごく遠くにいってしまったような気持ちになったことを覚えている。
わたしの、十一歳の思い出。もうすぐわたしも、免許を取れる年齢に近づく。
「・・・ちっちゃい頃にさぁ」
うのちゃんの運転にいささか慣れたころ、わたしはポツリ、話しかけていた。
大声で歌っていたうのちゃんの声が、止まる。
「よく、ひまわり畑行ったよね」
小学校低学年くらいまでは、毎年、家族で田舎のひまわりを見に行っていた。
見渡す限り、一面のひまわり。なぜかその日は、必ずと言っていいほど晴天だった。青と黄色のコントラスト。葉っぱはあざやかな緑。
そこに向かう道中、運転手はお父さんで、まだ幼いわたしたちは、後部座席にすわっていた。うのちゃんは右で、わたしは左が定位置だった。
行きははしゃいで、帰りはもたれあって眠る、お決まりのパターン。
「ああ!うん、なつかしいねぇ」
「あそこのひまわり、すごく背ぇ高くて」
今日の空の青は、あの日の記憶に、ピッタリと重なる。
「奥に行くほど、高くって。わたし埋もれちゃうんだけど、うのちゃんは頭のてっぺんがちょっと出てて、だからわたしはうのちゃんの場所、わかるんだけど、うのちゃんは、こまりーっどこーって、大きい声でさけんで、わたし、そのときちょっと、おもしろかったな。わざと息ひそめて、ひまわりの中に埋もれてーー」



