うのちゃんはボロボロ、涙を流し続ける目をテレビに向けたまま、テーブルの上に置いていたお茶を飲む。
大きめのコップで、一気飲み。ものすごい量の水分を飲む。取り入れて、すぐ目から出す。
わたしのなかにタプン、とゆれる水よりも、うのちゃんのなかにある水は、きっと新鮮。
ああ、こうだったなぁ。そうだよなぁ、って。
ぜんぶで、十六年間だ。うのちゃんをよく知っていたはずなのに、うのちゃんが帰ってきてから、やっと思い出すことがたくさんある。
それって、なんとなく見逃していたものを、もう一回探し出して、見ているかんじ。
うのちゃんの、「ユウチュウブ」と、同じかんじ。
ドラマの次回予告が流れているとき、ホール・ニュー・ワールドのメロディが鳴った。
わたしの携帯の、着信音だ。メールを開いてみると、アオイから。「もう風呂入った?」という内容のメールだった。
さほど嫌悪感はなくて、ホッとする。ホッとするのもおかしいなって思う。
「その着メロさぁ、なつかしいね」
わたしの方に身を乗り出して、うのちゃんが言った。とっさに、携帯画面の光を落とす。
「えーと。ホラ、なんだっけ?ワールド・オブ・・・」
「ホール・ニュー・ワールド」
「ああ、そう!そうだったぁ!あはは、ワールド先にきちゃ、ダメじゃんねぇ」
ついさっきまで泣いていたのに、もうケラケラ笑ううのちゃん。びしょぬれの大地は、すっかり日照り。
きっとうのちゃん、ネコやイヌよりも、見ていて飽きない。



