ムショうの


 ねえ、うのちゃん。そういうターバン?みたいなものって、インドだっけ。ちゃんとスーツ、ハンガーにかけなよ。仕事どうなったの。あ、うのちゃん、桃のかおり。わたしのおこづかいで買ったシャンプー、勝手に使ったな。

 言いたいことが頭のなかで重なって、面倒になったわたしは、結局どれも口にしない。

 だまっているわたしの代わりに、うのちゃんの鼻歌。今日のは、住宅会社のCMのやつ。

 フンフンフーン。調子のいい曲を聴きながら、わたしは、リビングのソファに沈み込む。

 今日一日ぎゅうと縮こまっていた筋肉が、まるごと、なめらかなソファの革にとけていく気がした。

 とろり。とろり。ドロリ。
 うのちゃんのスーツが日光を吸い込んでくれるおかげで、夕日もまぶしくない。

 そして日に透けるうのちゃんの黒いスーツは、すぐに、黒い夜をつれてくる。

 夕飯を食べて、わたしもお風呂から上がってから、うのちゃんと一緒に、ドラマを見た。

 わたしがゆいいつ、ちゃんと続けてみているドラマだ。同じ時間に、同じものを見るって、けっこう面倒。面倒くさがりなところは、わたしたち、似ているかもしれない。

「うのちゃんも、これ見てたの」

 ほてった肌に化粧水をぬりこみながら、うのちゃんにたずねる。

 白濁の液は肌にじゅわぁと消えて、いくらでも吸い込まれていきそう。日差しにさらされた夏の肌は、白を吸い込む、ブラックホール。