「……」
「あんたは好きな時にゴルフ行ったり釣りに行ったり好きに過ごしているけど、私が少し出かけたくて真奈たちを見ていてほしいって頼むと、嫌そうな顔して『亜子は母親だよね?子どもを置いて出かけるなんて、そんなの母親失格だよ』って何回も言ってくる。だから子どもを置いて買い物に行ったり、友達とランチをしたり、美容室に一人でのんびり行ったりなんてできなかった」
「その、ごめん……。ごめんなさい。謝るから、離婚だけはやめてよ。これからは俺、ちゃんと協力するからさ」
光の宿っていない目で時計をジッと見つめている亜子に、裕也は頭を必死で下げる。幸せな家庭を築けていると本気で思っていた。周りにもそのように伝えていた。だからこそ、離婚は裕也にとってまずいのだ。
その時、ガチャリと音が聞こえた。そしてパタパタと廊下を走る音と、聞き慣れた高い声が聞こえてくる。
「ママ!」
リビングのドアが開き、真奈がニコニコと嬉しそうに笑う。亜子も先ほどは無表情だったのだが、一瞬にして笑顔になっていた。
「あんたは好きな時にゴルフ行ったり釣りに行ったり好きに過ごしているけど、私が少し出かけたくて真奈たちを見ていてほしいって頼むと、嫌そうな顔して『亜子は母親だよね?子どもを置いて出かけるなんて、そんなの母親失格だよ』って何回も言ってくる。だから子どもを置いて買い物に行ったり、友達とランチをしたり、美容室に一人でのんびり行ったりなんてできなかった」
「その、ごめん……。ごめんなさい。謝るから、離婚だけはやめてよ。これからは俺、ちゃんと協力するからさ」
光の宿っていない目で時計をジッと見つめている亜子に、裕也は頭を必死で下げる。幸せな家庭を築けていると本気で思っていた。周りにもそのように伝えていた。だからこそ、離婚は裕也にとってまずいのだ。
その時、ガチャリと音が聞こえた。そしてパタパタと廊下を走る音と、聞き慣れた高い声が聞こえてくる。
「ママ!」
リビングのドアが開き、真奈がニコニコと嬉しそうに笑う。亜子も先ほどは無表情だったのだが、一瞬にして笑顔になっていた。


