「ここで待ってろ」



恭介にそう言われて、私がいるのは玄関。

これから住まわせてもらうお家は思ったより大きくてきれいだった。

お金持ちの別荘って感じのたたずまいの家。

私はなぜ、玄関で待たされているかというと……。

もうひとりのルームシェアの人に、恭介たちが先に事情を話しに行くからだ。

私も一緒に行こうとしたんだけど、『とりあえずここにいろ』と、有無を言わせない顔で言われたから、玄関で待っている。

待っているんだけど……。



「はあ? 女とルームシェアする?」



そんな心底嫌そうな、尖った声が玄関の奥から聞こえてきた。



「事情が事情だし、良い奴だからさ」

「僕は絶対嫌だね。反対。女に良い奴とかいるわけない」



恭介はなんとか説得しようとしているけど、ルームシェアをしている住人さんは大反対していることが分かる。

そうだよね、急に女の子が一緒に住むって言ったら嫌だよね。