「萌音はどうしたいんだ?」

「……萌音は俺と一緒に暮らす」

「お前に聞いてねぇよ。萌音に聞いてんだ。あと、お前だけの家じゃねぇからな」



2人のやり取りに思わず笑ってしまう。

仲が良いのか、悪いのか。

分からないけど、多分お互いを認め合っている2人なんだと思う。


……私は、この話を断ってしまったら地元に帰らなくちゃいけなくなる。

それは嫌だ。

それに、彼らとだったら楽しい生活を送ることが出来そうな気がする。


私は足を止めた。

それにつられて、彼らも足を止め、私へと体を向ける。



「私も、ルームシェアさせてください。掃除洗濯、いっぱいやります……っ!」



ぺこっと頭を下げる私。

そんな私の頭に温かいものが触れる。

顔を上げれば、最上くんが私の頭を撫でていた。



「前にも言ったでしょ。俺と一緒に暮らそ、って」

「……」

「一緒に暮らせるの、嬉しい」



最上くん……。

前に言っていた言葉、本当に現実になってしまった。

でも、最上くんが嬉しいって言ってくれるのは、私も嬉しいと、今ならそう思える。