そこに立っていたのは、今にも泣きそうな表情をした東雲さんだった。

なんで東雲さんがここにいるの?

そんな疑問と動揺を隠せないまま、私は頷いた。



「ありがと」



そう言って、東雲さんは私の隣にしゃがみ込む。

膝を抱えて座る彼女は、いつもより小さく見えた。


雨の音だけが聞こえる。

東雲さんが何もしゃべらないから、私もじっと降り続ける雨粒を見つめる。

どうして私の隣に座るんだろう。

東雲さんは最上くんに告白したんだよね……。

どうだったのかと聞きたいけど、私から聞くことはできない。

東雲さんとは、そういう仲じゃないし……。

じゃあ、どうして、屋上なんかに来たんだろう。

私の頭の中は、気が付いたら東雲さんのことばかりだった。



「あの。東雲さん」

「……」

「雨、止まないね」