好きすぎてヤバい。〜秘密の終わりは恋の始まり⁉︎〜

「ご、ごめん」



私は最上くんから離れる。

はらりと落ちる前髪を最上くんは無造作に直す。


怒らせちゃった、かな。

いや、でもそうだよね。

アニメを知らない最上くんからしたら、勝手に一緒にするなって感じだよね。



「ごめんね。急に触られて気持ち悪かったよね」



しょぼん、となった私は最上くんにもう一度謝る。

先ほどまで上がっていたテンションはどこかへ行ってしまった。

シュウに似ている最上くんに嫌われたかも……。



「そうじゃなくて。……その、慣れないから」

「え?」

「女の子に触られるの、慣れていない」



もしかして、もしかして。

最上くんは怒っていたんじゃなくて、照れていたの?

可愛いところもあるんだなぁ、と思いつつ、ハッとする私。



「でも、最上くん。いつも女の子たちに触られているよね?」



同じクラスの最上くんは、私の隣の席だったりもする。

まあ、今まで話しかけたことも話しかけられたこともなかったんだけど……。

最上くんの席にはいつも女の子たちが集まっている、そんな印象しかない。


私が入学初日のオリエンテーション中に消しゴムを落としてしまって、最上くんに拾ってもらったことが1度だけあった。

ありがとうって言いかけた瞬間、殺気を感じたのを覚えている。


授業中だよ⁉

ただ、消しゴムを拾ってもらってお礼を言おうと思ったのに、クラスの女の子全員から睨まれて、敵視されるってどういうこと⁉

そんな感じにモテモテの最上くんの隣の席の私は、クラスメイトと馴染む機会すら与えてもらえず、ひとりぼっちの高校生活の幕開けとなっていた。