そんな私たちの空気に瑞樹くんは耐えられなくなったのか、



「僕、先に帰るからっ。萌音ちゃん、部屋に来てね!」



と、言い残して、走っていってしまった。

なんだったんだろう……。

瑞樹くんが自分の部屋に私を呼ぶなんて……。

明日、雪でも降るのかな。

今、5月も終わりかけなのに。

なんて、失礼なことを考えてしまう自分がいる。



「萌音」

「ん?」



名前を呼ばれて最上くんを見れば、真剣な表情で私を見つめている。

その表情にドキってしてしまう自分がいて、いやでも心臓の音が大きくなる。



「瑞樹の部屋に行くの?」

「え、うん。……そのつもり」

「なんで? 萌音は俺が先に見つけたのに。……瑞樹の部屋に行ってほしくない」



最上くん、もしかして、ヤキモチ妬いてる……?

そう思うと、最上くんが可愛く思えた。

最上くんの頭を撫でてしまいたくなる。

髪に触れたい。

そう思って、手を伸ばしかけた瞬間、恭介が口を開いた。