「やっぱりこういう仕事をしていると、なかなか理解してくれるパートナーはいないと思う。それに今は恋愛より仕事をしたいから」

一花のその言葉で、話題は恋愛から仕事のことへ、そして最近のお互いのハマっているものや可愛いものへと変わっていく。だが、恋愛話にふとしたきっかけで会話は戻ってしまうこともある。

「そういえば、一花はMr.本田とはどうなんだ?あんたとは歳の差があるが、いい男だと思うぞ」

モニカの言葉に、コーヒーを飲んでいた桜士はドキッと胸を高鳴らせる。一体一花はどう思ってくれているのか、知ることができる機会だ。緊張しながら一花の言葉を待つ。

「えっと……その……」

一花はなかなか答えない。だが、アルオチが「あんた、顔真っ赤じゃない!」と口にしたことで、桜士の顔も赤くなっていく。好きな人の赤面姿ら、熱があるのかと心配してしまうものの、可愛らしく見えてしまうのだ。

「本田先生は……優しくて、最高の先生よ……」

いつか、本田凌ではなく九条桜士として一花と向き合いたい。一花の言葉を聞きながら桜士はコーヒーを飲み、喜びを心の中に感じながら席を立った。