その日、桜士は非番だった。掃除などを済ませた後、時計を見るともうお昼が近い。いつもなら適当に何か作って食べいるのだが、今日はどうしても気分が乗らず、かばんを手に外へと出た。

「何を食べようかな……」

ラーメンやハンバーグなどをがっつり食べたい気分ではない。かと言って、サラダだけでは味気ない。そう考えながら街をブラついていると、脇道から見知った姿が出て来る。

「四月一日先生……」

腰にリボンベルトを巻いたピンクのミニ丈のニットワンピースに、白いコート、そしてココアブラウンのブーツを履いた一花が歩いていく。病院に着てくるよりも可愛らしい格好だ。

(もしかして、デート!?)

相手は誰なのだろうか。ヨハンか、それとも別のeagleのメンバーだろうか。それとも全く桜士の知らない男だろうか。気になった桜士がすることは一つ。尾行だ。

(相手の男のことを灰原に調べさせよう)

そう思いながら一花を桜士は尾行していく。すると、一花はあるカフェに入って行った。最近できたばかりの犬をモチーフにしたカフェである。