「はぁ……」

今月で何度目かわからない同じ人物の処置を終えた後、桜士はため息を吐く。すると、アルフレッドが売店で買って来たのであろうコーヒーを桜士の近くに置き、「すみません、お疲れ様です」と声をかける。

「一花、ヨハン、黒田先生たちもどうぞ」

アルフレッドは人数分のコーヒーとドーナツを買っていた。ドーナツの箱に一花がパアッと目を輝かせ、「ありがとう!」と笑う。花の咲いたような笑顔に桜士は胸を高鳴らせつつ、言った。

「それにしても、また藁科詩織さんでしたね」

詩織がオーバードーズで搬送されてくるのは、今月でもう四回目だ。そして、救急車の搬送要請をお願いするのは詩織の家族ではなく、アルフレッドか昴である。

「何でお前がよく救急車を要請してんだよ?」

チョコレートドーナツを食べながらヨハンが訊ねる。アルフレッドは頰をかきながら言った。

「実は、詩織さんや昴くんと時々会ってるんだ。昴くんとは何かあった時のために連絡先も交換してる」