Cherry Blossoms〜難解なカルテ〜

一花が未だに「勉強!塾!」と庄司に言っている二人に声をかける。二人は若い医師の登場に少し驚いていた。一花は、二人が黙った今がチャンスと言わんばかりに口を開く。

「お嬢さんは、百錠以上の風邪薬を飲んだんです。あそこにいる学生の方が助けを求め、救急車を呼んでもらわなかったら、お嬢さんは命を落としていたかもしれないんです!これはもう自傷行為と変わりありません。なので、精神科医にカウンセリングをしてもらう必要がーーー」

「先生、精神科なんて頭のおかしな人が行くところでしょう?うちの子にそんなもの必要ありません」

「そうだな。変な噂でも立てられたら進路に響くかもしれないじゃないか!」

一花がまだ話している途中だというのに、詩織の両親は口を挟む。その態度、そして詩織の両親が言った言葉に桜士は苛立ちを覚えた。

(四月一日先生がまだ話している途中だぞ!最後まで話を聞けよ!それに精神科は人の心を救う最後の砦なんだぞ!!)