「あの、詩織は?詩織はどうなりましたか?」
オロオロしながら訊ねる男子高校生は、手が微かに震えている。桜士は男子高校生と目線を合わせ、微笑んだ。
「もう大丈夫ですよ。意識はまだ戻っていませんが、もう問題はありません」
「よかった……!ありがとうございます……!」
男子高校生ーーー羽田昴(はねだすばる)は安心からか涙を流し、何度も桜士たちに頭を下げる。その時、「ううっ……」とうめき声が聞こえた。ベッドの方を見れば、詩織が目を開けている。
「詩織!!」
昴がベッドに駆け寄り、「大丈夫?体は平気?」と声をかけている。だが、詩織はそれには答えず、ただ静かに涙を流していた。そして、その唇がしばらくしてゆっくりと動き出す。
「お父さんやお母さん、お兄ちゃんはここにいますか?」
ここに詩織の家族は誰も来ていない。そもそも、電話すらまだ繋がっていない状態なのだ。ヨハンが詩織に近付き、声をかける。
オロオロしながら訊ねる男子高校生は、手が微かに震えている。桜士は男子高校生と目線を合わせ、微笑んだ。
「もう大丈夫ですよ。意識はまだ戻っていませんが、もう問題はありません」
「よかった……!ありがとうございます……!」
男子高校生ーーー羽田昴(はねだすばる)は安心からか涙を流し、何度も桜士たちに頭を下げる。その時、「ううっ……」とうめき声が聞こえた。ベッドの方を見れば、詩織が目を開けている。
「詩織!!」
昴がベッドに駆け寄り、「大丈夫?体は平気?」と声をかけている。だが、詩織はそれには答えず、ただ静かに涙を流していた。そして、その唇がしばらくしてゆっくりと動き出す。
「お父さんやお母さん、お兄ちゃんはここにいますか?」
ここに詩織の家族は誰も来ていない。そもそも、電話すらまだ繋がっていない状態なのだ。ヨハンが詩織に近付き、声をかける。

