Cherry Blossoms〜難解なカルテ〜

アルフレッドがニコニコと笑い、「嬉しいこと言うなぁ〜!」と言いヨハンがアルフレッドに抱き付く。

「俺、麻酔科医だからさ、優秀な救急救命医たちを紹介することしかできないんだよな」

アルフレッドの表情が暗くなる。桜士が何か声をかけなくてはと口を開くと、言葉を彼が発する前に一花がアルフレッドの手を取り、真剣な目でアルフレッドを見上げた。

「アルフレッド、そんな顔をしないで。麻酔科医は、手術室の中にいる患者さんの命を守る大切な存在よ。それに今回だって、アルフレッドが救急車を呼んで、ここに搬送するよう教えてくれたから、藁科さんを助けることができたの。本当にありがとう」

「お前は変なところでネガティブなんだよ!もっと自信持て!」

バシンとヨハンがアルフレッドの背中を叩く。アルフレッドは瞳を潤ませながら、「ありがとう」と言った。

その時、救急科のドアが開く音が耳に聞こえ、桜士が音のした方に目を向けると、制服を着た男子高校生がゆっくりと歩いて来る。アルフレッドに助けを求めた高校生だ。