Cherry Blossoms〜難解なカルテ〜

たまたま出かけていていないのか。それともーーー。

未だに胃の中から吸収されていく薬を見ながら、桜士の中で嫌な予感が生まれていた。



それから三十分ほどかけて胃の中の薬を取り出した後、活性灰を投与し、薬剤の吸着除去を行なっていく。そして腸からの吸収を抑えるために緩下剤を投与し、胃管を抜去し、処置は終了した。

「意識はまだ戻っていませんが、少ししたら目を覚ますと思います」

桜士がそう言い、一花たちはホッとしたような顔を見せる。そして、ヨハンが軽くアルフレッドの肩を叩いた。

「おい、何でお前が一緒に救急車に付き添ってたんだ?このお嬢ちゃんと知り合いってわけじゃないんだろ?」

「あ〜、実はジョギングをしている最中に一軒の家からものすごい勢いであの男の子が飛び出してきて、「助けてください!!」って言ったんだ。慌てて家の中に入ったら、詩織さんが倒れていて、慌てて救急車を呼んだんだ。この榎本総合病院なら、優秀な医者がたくさんいるって俺が言って搬送してもらったんだ!」