Cherry Blossoms〜難解なカルテ〜

「黒田先生、おはようございます」

桜士、一花、ヨハンも挨拶を返して朝の申し送りが始まる。その時、救急科の電話が鳴り響いた。

「はい、もしもし」

小走りで電話を一花が取った。そして、電話をかけてきた人物の声を聞いて、少し驚いた顔を見せる。

「えっ、アルフレッド？」

電話をかけてきたのはアルフレッド・ブレイディーーーeagleの麻酔科医の名前だった。



「大丈夫ですか！？」

「病院に着きましたよ！わかりますか？」

ストレッチャーに乗せられ、患者が運ばれてくる。救急救命士が声をかけているものの、グッタリとして反応はない。その隣で、工業高校の制服を着た男子高校生が顔を真っ青にしながら立っており、看護師に救急科の外へと連れ出されていた。

「彼女は藁科詩織（わらしなしおり）さん。十五歳の中学三年生。自宅に恋人が訪れたところ、リビングでグッタリとして倒れていた。彼女が倒れていた周りにはたくさんの風邪薬の箱が落ちていたよ」