公安警察の九条桜士(くじょうおうし)はその日、イオンモールへと足を運んでいた。平日とはいえ、イオンモールは人でそこそこ賑わっている。

黒のハイネックニットに白のカーディガン、デニムパンツというカジュアルな服装でイオンモール内を桜士は歩いていた。その目は服屋やコーヒーショップに向けられているものの、どこかギラギラとしており、普通に買い物を楽しんでいる人とはどこか違う。そう、今桜士は休日を楽しんでいるのではなく、公安警察の捜査で来ているのだ。

事の発端は数時間前、桜士の後輩の灰原十(はいばらみつる)が電話をかけてきたことで幕を開ける。

「さっき公園で怪しい二人組を発見しました。どうやらCerberusの末端の構成員のようです。会話を録音したので、送ります」

そう言われ、十から録音データが送られてくる。二人の男性が話していた。

『明日の任務の確認をするぞ』

『ああ、明日は××にあるイオンモールに爆弾を仕掛けるんだよな?』