1週間が経過した土曜日。
今日は、わたしが玲のお母さんに家に来てほしいとお招きをいただいた。
「雫ちゃん、こんにちは」
「こんにちは」
「晴、こっちにいらっしゃい」
玲のお母さんの声の後に現したのは、三つ編みのハーフアップにした女の子だった。
「晴ちゃん!」
その子は、玲の妹の晴ちゃんだ。
あの時よりも、ぐんと背が伸びて、幼女から少女になっているけれど、長いまつ毛が縁取られた目と、前へキュッと突き出た可愛い口は変わっていない。
「久しぶりだね、わたしのこと……さすがにもう覚えてないかなぁ」
わたしがそう言うと、晴ちゃんは微笑んで首を横に振った。
「ううん、そんなことないよ。雫ちゃん」
「そっか、覚えてくれてたんだ! 嬉しいよ、大きくなったね!」
「せっかくだし、晴。自分の部屋に、雫ちゃんを案内してあげなさい」
玲のお母さんがそう言うと、晴ちゃんは頷いた。
「うん。雫ちゃん、こっちだよ」
晴ちゃんが背中を向けると、ハーフアップの結び目についている水色のリボンが、可愛らしく視界に入り込んだ。
「雫ちゃん、ここがわたしの部屋だよ」
水玉模様の筆箱とノートが乗った勉強机、サメのぬいぐるみが置かれてあるベッド、児童書がたくさんしまってある本棚。隅には、可愛い刺繍のあるランドセル。
「雫ちゃん、ここに座りなよ」
晴ちゃんはベッドに腰掛けて、隣をポンポンと叩きながら言った。
「うん、ありがとう」
わたしは、そっと晴ちゃんの隣に座る。
「あっ」
わたしの方が、晴ちゃんよりも机に近いところに座っていたので、つい声をあげてしまった。



