「自分を……縛り付ける?」
「世の中にはね、いい人ってたくさんいるでしょう。いい人を見つけて、その人と幸せになりたいって思う時がある。雫ちゃん、玲を忘れられないからって、チャンスを逃し続けちゃダメよ」
「えっ……?」
「玲のことを想う雫ちゃんは、すごく優しい子だし、玲も嬉しいに違いない。だけど、いつまでも自分の幸せをそっちのけにするのは違うわよ」
「だ、だけど玲がいつまでもわたしの心の中にいてくれる……。それがわたしの幸せですから……」
「雫ちゃん、ありがとう。もちろん、急いで新しい恋人を見つけなさいって意味じゃないわ。けれど、もし雫ちゃんが玲以外に好きな人を見つけたら、玲を理由に遠慮はしないでね」
とうとう、わたしの目からも涙が溢れた。
玲のお母さんの目にも、涙がいっぱいだった。
「ありがとう、雫ちゃん……。玲も私も、雫ちゃんと出会えて本当によかったわ」
玲のお母さんがきゅっと、わたしを抱きしめてくれた。
懐かしいな、この感触……。
玲のお母さん……こんな感じで幼かったわたしのことも、よく抱っこしてくれていたから。
玲のお母さんの胸の中で、そっと顔を動かしてみると、奥ではお母さんも泣いているのが見えた。



