机の上には、まだ小さかった頃の晴ちゃん、隣には、玲が写っている写真が飾られてあった。
それに気がついた晴ちゃんは、一度立ち上がってその写真を抱え、またわたしの隣に座った。
「お母さん、あの日からずっと海に近づこうともしないの。お兄ちゃんのこと、どうしても思い出しちゃうからだって」
晴ちゃんは、写真を見つめながら言う。
「お母さんは、何度もお兄ちゃんをあんな学校に通わすんじゃなかったって言っていたの。お父さんも、転校なんかさせなきゃよかった、仕事の都合で引っ越しがなかったら、どれだけ良かったことかって、怒りながら泣いていたの。わたし、初めてだったよ。お父さんが泣いたところを見るの」
どこかの公園だろうか。写真の中には、2人とも柔らかな緑色の芝生の上のベンチに座って、そっくりな笑顔を咲かせている。



